同一労働同一賃金へ対応

新型コロナウイルス感染症もあり、久しく耳にしませんでしたが同一労働同一賃金が来年より中小企業にも適用されます。思えば弊社でも、今年3月に同一労働同一賃金の勉強会を実施しましたことがはるか昔のように感じられます。
それでも時間は流れておりますので、10月には最高裁判所による判決が出され世間の注目を浴びました。企業側労働者側どちらが有利になった、この論法でいけば大丈夫との考えは早計です(契約社員には賞与や退職金を支給しなくてよいなど)。判決はあくまでも個別の事情や人事制度、職務内容、職責などを総合的に評価したものですので。

有機経営では、同一労働同一賃金への対応支援を継続していましたが、最近では問い合わせや支援依頼が増えてきた印象です。法が適用されるまで残り4ヶ月程度となりスケジュールは非常にタイトですが、要点を抑え根拠となる規定の整備、等級制度、報酬制度、評価制度の変更、関係規程の修正などを適切に行えばまだ十分間に合うと考えています。

対応の手順を簡単に示してみますと下記のようになります。

➀正社員の就業規則と契約社員(パートタイマー含む)の就業規則の比較
※この作業は必ず行う必要があります。
②①の比較より差異を見つけます。特に給与の諸手当、賞与、昇給や休暇の有無に加え、福利厚生も見ます。
③②により見つけた差異が妥当であるかを検討。例えば、通勤は正社員、契約社員に関係なく行うものですから通勤手当が正社員のみに支給されている場合は不当性が強まります。
④検討の結果差異を是正方向へ。ただし、人件費が大幅に上昇する場合は注意。
⑤各種規程の変更

これらに加え、正社員と契約社員の違いを明確にした表を作成されるとより進めやすくなりますし、手当を支給する根拠も確立することができます。

ちなみに同一労働同一賃金の実体は、均等均衡賃金のことになります。この点が混乱を生んでいると感じますし人事制度の変更を検討する際にも議論されるテーマとなります(役割等級へ変更又は導入するときなど)。

人事制度の変更と同一労働同一賃金の関係については、新たなテーマといたします。

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