働き方改革の正体を探る③
働き方改革なる世の中なの動きを別の視点から見るとどう映るのだろうか。と考えてみましたので、今回は働き方改革を取り巻く状況から各事業者の思惑も含めて考察します。
新聞はじめ、ネット上には働き方改革をテーマとしたCMが多く流れていますし、関連していく本の出版数は伸びているように感じます。よく目に留まるのは、IT関連会社が開発したITシステムを導入することで効率化を図り、人員不足に対応しますというフレーズ。 もう一つは、組織コンサルティングを手掛けている会社の組織改革や働き方を変えていく、というハウツー系です。どちらも、それなりの実力と根拠があり一定の効果を上げているのではないかと思います。ただし、ケースによっては物足りなさや身の丈を超えたツールやサービスになっているのではないかという危惧も大いに感じますが。
私たちも働き方改革のお手伝いをする立ち位置にいますので、大まかに括ると前述の会社と同様なカテゴリーに属すると自覚しております。現在、働き方改革というテーマを扱う理由は、①働き方改革支援、②自社の技術・サービスの浸透(早い話が売上アップ)となるでしょう。商売ですし、それ自体悪いことではないことは確かですが、どうも素直に受け取りにくいという印象をもってしまいます(胡散臭さが抜けないというか・・)。
仮に外部の支援を受けるとしたら、見るべきポイントはどこになるかを考えてみました(お節介だと思いますが、参考までに)。
●共通:自社のビジネスおよび組織状態、企業文化、取り巻く状況などをよく理解していること(または理解しようとする真摯な姿勢があること)
●ITシステム系:ICT導入が自社にとって有益かどうか論理的に説明できていること。導入時のあらゆるコストを見積もった上で、長期的なベネフィットを得られると同時にリスクマネジメントを達成していること。不要なデータの整理から売上、コストに係るデータ、勤怠管理、請求業務など人手を必要とした仕事からの解放が得られること。可能であれば、導入時のコンサルティング期間おいて、紙でやる作業、データへ移行できる作業などを分類し提示できること。
●組織コンサルティング系:自社の方向性を理解し、戦略とマッチした組織構築の提案と人事制度の改定提案を同時にできること。提案のための調査を必要工数見積もり、調査報告書を経営トップおよび役員会へ提出し、組織改革の方向性をプレゼンテーションできること。さらに、労働基準法はじめ働き方改革に関連する法律に精通した上で、就業に係る各種規程の変更、社員研修(提案・実施)、人事制度運用支援を行える実力を備えていること。特に自社の戦略(方向性)と組織・人事制度をマッチさせ運用することが、自社の土壌をつくり変化の激しい環境に対応できる最低条件になりますので、ここは外せない要素です。
いずれにせよ、形だけの改革などたかが知れていますし、何より社員は会社の本気度をよく見抜くものです。改革は副作用を伴うのが通常ですので、どうせやるのであれば、期間は出来るだけ短く、労力は可能な限り最低限で、をやはり目標に置くべきでしょう(コンサルティングサービスなどは、期間・工数が短ければその分のコストが削減できます)。それでもある程度の予算は必要になりますから、投資した分がどの時点で回収できるのか、または得たい効果をどこに設定するかは経営者の腕の見せどころなのです。