副業・兼業の促進に関するガイドラインについて思うこと。。

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、最近は副業や雇用シェアなど動きや報道が多くなっている印象を受けます。昨年9月に厚生労働省より『副業・兼業の促進に関するガイドライン』(改定版)が発表されていますが、その内容について簡単ですが触れてみたいと思います。

◆ガイドラインの概要(原則的な考え方)
・ガイドラインの原則的な考え方は、労働者が労働時間外の時間をどのように使うかは自由ということ。
・端的に言えば、休日や仕事終わりに何しようが労働者の自由だよね、ということ。
・したがって、労働者の自由な時間に対し企業が関与することは原則的には許されない。ただし、労務提供上の支障が発生する時や業務上の機密が漏洩する場合などは制限することができますよ、としている。

労働者の自由というのであれば、労働時間の管理は不必要なのでは?と思いますがそこは管理が必要としています(個人的には矛盾を感じますが・・)。
労働者にとってのメリットとして、ガイドラインでは収入の増加があげられていますが、労働者として副業・兼業しても、労基法上ではたく時間の制限が週40時間、1日8時間であるためフルタイムで雇用されている方にとってはあまり魅力あるものでもありません(短時間勤務であれば、掛け持ちすることにより労働収入を増加されることは可能ですが、それは既に多くの方が実施済みですので特に目新しいものではありません)。

また、下記のような場合だと収入低下になるのでは?という疑問があります。
※ガイドラインを解釈し事例をあげています。解釈の相違がございましたらご指摘ください。
例 本業で1日8時間、週5日の日給月給制又は時給制で働く労働者。土日休み。会社の1週間は日曜日から土曜日とします。
  副業・兼業は、日曜日に8時間労働とした場合とします。

この場合、日曜日から木曜日までに40時間に到達(労働時間は通算されるの原則)。金曜日の8時間は週40時間超えとなるので、本業で1.25%の割増賃金(時間外労働)が必要となる。

仮に、この労働者の雇用契約が時間外労働は無しとなっている場合、金曜日の労働は不可となり給与は支払われない可能性も考えられます。
時間外労働が無しとなっている場合、副業・兼業先の賃金が本業と同等以上でなければ収入は逆に低下してしまいます。
※本業(1,100円)、副業(900円)
(ガイドラインでは、この点について触れてはいないので個別判断の余地を残しているのだと思います)

一方、副業・兼業先では、Wワークの方に対してはじめから割増賃金設定する必要があると理解したときに、採用に動く企業がどの程度あるのかも不透明です。
※自営業や農業等に従事する場合は労働時間が通算されないルールもあります。

残業時間の低減により副業をしたいというケースでも、上記のような運用次第では収入の増加は期待できないかもしれません。その場合、副業は一つの解決策となるかもしれませんが、根本的な原因を見つけて解消する方が実は効果的なのかもしれません。

これから副業・兼業のテーマが本格化していくとを想定すると、ガイドラインを踏まえ自社にあったルールを設定し運用していくほかなさそうです。状況によっては、グレーゾーンが残ることも想定されますので、その辺りは法律抵触を上手に回避しつつ社員の希望を可能な限り汲み取った上で実行性を担保行く必要がありそうです。

添付しております副業・兼業のガイドラインの要点もご参照ください。
副業兼業ガイドラインの要点

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