働き方改革の意識は若い経営者の中にある
2019年4月1日から働き方改革関連法がスタートしています。労働基準法をはじめとする労働法の改正施行が順次行われていくわけですが、世の中の経営者へどの程度浸透しているか甚だ疑問です。2019年3月27日の日本経済新聞の2018年10月~12月に中小企業経営者向けにとったアンケートでは、残業の上限規制への対応は46%、同一賃金への対応は31%とどちらも50%を下回っていることが分かりました。
アンケートの取り方でも数値は変化すると思いますが、対応への動きは鈍い印象でし、年次有給休暇の取得義務についてはネガティブに受け止めている経営者の方も多いように感じます。経営を行う側にとっては、ノーワークノーペイの原則の外側にある特権的な制度は確かにウェルカムとはいかないものでしょう(事実、年次有給休暇を5日取得すると0.5%の賃上げに相当します。数値は概ねの値)。事実上の昇給になるわけですから、生産性を高めてもらわなければ財務にも響いてくることは必至です。
かとって、年次有給休暇の取得をあまりにもマイナス感情で捉えてしまいますと現在の社会的な流れから取り残されていくことになり、企業風土の澱みから求人力を低下させ人手不足に拍車がかかってくることになります(それではまずい!)。したがって、中小企業の経営者は本音ではウェルカムでない施策も、時代の変化に合わせ上手に対応していくことが求められているのでしょう。
時代の変化を敏感に捉えるのは感性も関係してくる。
先日若い男性から起業に向けての相談がありました。なんでもその男性の業界は、賃金も低く長時間労働が当たり前といった習慣が根強く残っているようです。業界あげて何とか改善しようとしているようですが、長年染みついた習慣は体質化し、生活習慣病のようにじわじわと業界全体を蝕んでいて、根本的な改善はもはや不可能と思わせるに十分な状態なのでしょう。だからこそ自分が起業し経営を行うときには、業界の習慣を排除した時代にマッチした新しい働き方を実行したい、という訳です(そのためにはどうしたらよいかという相談でした)。これまで当たり前とされていた常識を一度否定し、業界の習慣を断ち切り、新しい働き方を提案し世界をよい方へ変化させたいとう、この男性の姿勢には青臭さを感じながらも、共感と忸怩たる思いを禁じ得ないものがありました。
日本全国的にも、大人な経営者よりも働き方改革の本当の意味と実行の意義を感じているのは若い起業家や経営者が多いように感じます。いつの時代も常識を否定しつ、新しさを創造してきたのは若い者なのですから、このような若い起業家への応援は惜しみません。