管理職が育たない、能力不足、機能しないという課題と解決の方向性
時代と共に管理職に求められる役割は変化していくものです。その認識はあるものの有効な管理職層への研修や指導方法などについて模索している企業が多いのではないでしょうか。2024年10月22日の日経新聞の見出しの一つに、『自由すぎ、部下にも毒 時代は「モチベ管理」職』がありました。
これからの時代にマッチした管理職とはどのようなものかを考察しましたので、皆さまの管理職が抱える課題解決の一助となれば幸いです。
企業が抱える管理職の課題
私たちはクライアント企業へコンサルティング業務を提供しておりますが、組織人事の領域で共通して課題としてあがる項目は管理職が育たない、という声をよく耳にします。具体的にはどのようなことですかと尋ねると、「管理職がマネジメントをしない」「部下育成をしてくれない」「偉そうな態度になっている」など、会社が期待する管理職像とはかけ離れた実態があることが分かりました。
実際に管理職層にヒアリングを行うと、
「業務が多忙でマネジメントまで手が回らない」
「どのようにマネジメントすればよいか分からない」が主な共通点であることが分かりました。
これは普遍的に存在し一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
その結果、管理職としてやるべきことがなされていないことが多く、経営者がなかなか次のステップに進めない事態となっているケースも多々あります。
管理職の重要性
管理職が重要なポジションであることはよく知られていると思います。管理職は、経営者の考えを理解し、経営戦略を実行するために部下に今期の戦略や具体的な実行策を部下に降ろしていくなど、経営者と社員を繋ぐ機能と役割を担っています。手段として管理、いわゆるマネジメントを実行するということです。
その要となる人が有効に機能しないとなると、事業計画が何期も未達になったり、離職者が増えたり、顧客からのクレームが増えたりと徐々に企業の体質が悪化していきます。直ちに悪化の途を辿らなくとも現状維持の文化や風土が醸成され、社員の元々持っている創作意欲や挑戦意欲、工夫や改善の機会を奪うことになります。
管理職はマネジメントや売上目標の達成などの他に、会社の組織風土が作られる起点となっていることも多いです。
管理職研修が未実施という課題
管理職の課題はあるものの有効な打ち手を出せていない企業も多いと思います。管理職研修を実施する必要性は認識しているものの、研修を行えていない最も多い理由が「業務が多忙」「顧客(営業・業務)優先」(業務を止めるわけにはいかない)というものではないでしょうか。 新任課長やその他の管理職でも、管理職研修を受けずに昇進された方、管理職研修は受けたことがあるけれど何年も前に一度だけなどケースも多いのではないでしょうか。
このようなケースでは、そもそも研修計画が立てられていない場合が多く見られます。研修計画が立てられていない理由は、事業計画や経営の方向性において管理職の在り方が明確に確立されていないことが原因と考えます。端的には、「我が社の管理職の在り方は〇〇で、管理職研修は△△を○回実施する」などです。コンセプトが不在のままだと課題だけが独り歩きしているような状態ですので、管理職を育てる課題は凍結されたまま時間が経過していくことになります。研修を実施するにあたり目的を具体的にしておくとブレることなく運用できるでしょう。
管理職研修の内容もリーダーシップ、労務管理、会計帳簿の見方、売上計画の立て方などがありますので、短期中長期の課題に合わせて選択するとよいでしょう。
弊社クライアント企業へ調査を行い管理職層へ現在の不安は何かを聞いてみると、
「どこまで指導してよいか分からない」
「ハラスメントと言われるのではないか」
「労務管理の知識が乏しく社員からの質問に回答できない」
「人事考課のやり方が分からない」
「管理職の役割が分からない」
などが多く聞かれました。
管理職研修では部下への指導、注意の方法、ハラスメント研修、労務管理研修、人事考課者研修、管理職とはなどの知識、技術を学ぶことができます。セーフとアウトの境界線が分かれば、自信をもって部下へ指導できますし安心してコミュニケーションもとれるというものです。年間の平均的な労働時間数が1,920時間から2080時間程度の間と想定して、その一部、例えば年間10時間の管理職研修を組み入れても総労働時間数に占める研修時間の割合は0.5%程度です。この0.5%を惜しんで管理職が不安を抱えながらマネジメントをし、会社は管理職が育たない、マネジメントをしてくれないと嘆くか、投資を行い事業をより最善に近づけるか、どちらがよいかは瞭然でしょう。
管理職課題の解決方法
管理職を育て、機能していくためには次のステップを意識してみはいかがでしょうか。
- 人事ポリシー(人材ポリシー)の策定
- 管理職像の在り方(コンセプト作り)
- 管理職研修計画の作成(予算、研修内容・講師、受講対象者など)
- 研修実施責任者の選定(経営者自身、役員、管理部、人事部など)
- 研修の実施
- 研修後のフォローアップ(報告書、フィードバック、経営者面談など)
- 次年度の研修計画へ
有機経営では上記ステップごとの支援をはじめ、管理職研修、ハラスメント研修、人事考課者研修など、管理職育成、研修に係るコンサルティング業務を提供しています。相談のみ、面談のみも受け付けておりますのでお気軽にお問い合わせください。