日本丸の行く先は…

令和2年の税制改正大綱が発表されました。ざっくりとした印象は、企業に内部留保を吐き出せて、経済を循環させるというところでしょうか(ついでに、M&Aによる意図的な赤字は送させないぞということも盛り込まれています)。

労働政策としては同一労働同一賃金。財務政策としては、ベンチャー企業への投資(イノベーションの促進)、エンジェル税制、NISA・・。両面から(強制的に)刺激し、2020年オリンピック以降の景気を良くしていきましょう的な意図を感じます。

景気指標の一つとなる賃金では、OECDなどによる実質賃金調査によると、1997年を100.0とした場合、2018年の日本は90.1。アメリカは116、イギリスは127となっているわけです。日本の賃金を上げるためにも、最賃引上げや同一労働同一賃金の政策をとれば、賃上げが達成されるし、モノの購入・消費も増えて、経済は上向くぞ、というところでしょうか。

理論としてはそうなのでしょうね・・。

しかし、モノやサービスが思ったより消費されない時代で、賃上げによる負担が中小企業にはかかりますし、新規事業の展開や事業承継、人手不足の問題がつきまといます。大企業とて、出資する先に魅力を感じなければ減税だけの動機で動くとは思えないのです。

企業を取り巻く環境は国内需要の縮小傾向、高齢化の進展、人口減少、最低賃金や同一労働同一賃金による賃金の引上げと、金利の関係が絡み、来年以降は景気に対するマイナスな印象が増大してくる可能性は高いと思いますし、どのような形で政策(効果なのか副作用なのかはわかりません)が表出されるのか注視していく必要はあると思います。結局は、企業の体力、次世代の組織文化、コンテンツが持つ力、先見性、リーダーシップ、新陳代謝などを上手にコントロールし実行していく必要が業態や規模を問わず突きつけられるような気がしてなりません。

*イノベーションの問題が、お金で解決できるのであればとうに解決できているのは言うまでもありませんね。

 

*OECDデータによりますと日本の実質最低賃金は35%上昇しています。しかし、日本全体としての賃金は下がっているということは、下限額(最賃)は上がっているけれど、上限額(給与の伸び)が下がっている傾向が強いので、全体的に実質賃金は低下なっていると考えられます。

 

*年間平均賃金は、この3国では日本が下降しています。技術力について疑いはありませんが、グーグルやスカイプが日本から生まれなかったこと賃金の下降減少は無関係ではないでしょう。

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