働き方改革の本質的なもの

人口減少がこれから顕著に現れてくることは覚悟しているつもりですが、ここ沖縄県においてはその実感さえ錯誤であるのではないかと思える時があります。

沖縄県の経済はここ最近好調で特に観光と建設が好景気を牽引しているのでしょう。新築の住宅やマンション、大型ショッピングセンターの建設は人口増加を前提とした戦略と思えます。現に東京に次いで人口がプラスになった数少ない地方県ですし、出生数も他府県と比べて多い。さらに、台湾、中国、香港、韓国を中心とした観光客の増加もあり、それらが相まって人が減っているという感覚にはなり難い要因を構成しているのではと思ったりするのです。
一方、ビジネスの現場では人手不足という状況。コンサルティングをしていてもいつの間にか“人がいない”というテーマに移っていることも自然な成り行きになっています。

人手不足という状況は、企業の戦略やビジネスモデルによっても定義は異なるのではないでしょうか。例えば、拡大戦略や成長戦略をとっている企業にとっては、新しいビジネスのチャンスをものにするためには人員は必要でしょう。大型ショッピングセンターなどの建設はこれにあたると思います。こちらは資本があれば相場を上回る報酬を提示し、誘引力を増加させることができます(ただし、賃金は下方硬直性のという性質から長期的にみるとリスクも抱えます)。

生存戦略などの今を何とか維持してチャンスを待つ、というようなケースでの人手不足は、オペレーションの停滞から顧客離れを引き起こすリスクがあります。このようなケースに当てはまる企業が沖縄県では多いと感じていますが、対策は十分とはいえない印象です(社員が退職するということのデメリットは理解していても、有効な対策を立て実行するということまで至らないというのが現状です)。特にベテランの社員の退職のダメージは大きく、同程度のスキルをもった人材を採用することは困難ですし、求人の際に賃金アップを強いられる可能性が高まります(求人の賃金ベースを上げると他社員の賃金も自動的に引き上げられてしまうため、全体の人件費が上昇します)。
「あなたの代わりはいくらでもいる」というフレーズを使用している経営者や管理職がまだいるならば、成長市場にポジションをとった相当に魅力的なビジネスモデルと確信たる戦略を敷しているという自信を持っている方、または時代観が高度経済成長時の方なのでしょう(どちらも錯誤的ですが)。

このような状況下ですと、定着率(離職率)は経営に大きな影響を与えることになります。可能な限り社員は長く働いてもらうことが利益にも貢献することになりますし、何よりも育成というコストを削減できます。退職率が高まると求人広告、採用(面接)、入社手続き、初期教育など広い領域でコストがかかり、教育担当者は新しい社員が入る度に同じように教えていく必要があるため、心理的にも疲弊していきます。会社全体が停滞ムードへ突入しかねないリスクを抱えた状態では、新商品・新サービスの開発からロンチまでは相当な困難が待っていますし、成功率もかなり低くなるでしょう。

政府が働き方改革と声高に言わなくとも、ビジネスモデルの変更やオペレーション、勤務体制、給与設計、サービスなどを見直すことは必至だと思いますし、そのプロセスを経て、結果として働き方改革関連の法律にも対応したということに着地するのではないかとそう思っています。

今回の投稿記事について、ご意見(反対のご意見)などありましたら是非お聞かせいただければと思います。
忌憚ないご意見お待ちしております。
e-mail: info◆yukikeiei.co.jp
※メールの際は◆を@へ変換お願いいたします。
担当:上地

有機経営株式会社の最新情報をお届けします

社労士オンラインについて

社労士オンラインについて
・社労士オンラインサービスとは月額2,700円(税別)で何度でもメールにてご相談できるサービスです。