世界の最低賃金上げ論争から見る最低賃金一律1,000円の実現可能性

2019年6月20日(木)の日本経済新聞に「最低賃金上げ 世界で論争」という見出しがありました。どうやら日本以外でも最低賃金上げの論戦が繰り広げられているようです。グローバル化に伴う先進国での賃金低下が格差を生むことから、政治問題へと発展し最低賃金に焦点が当たったとの記事です。確かに、経済格差の問題は深刻ですが、ここでは、多くの中小企業にとって最低賃金の引上げについてみてみます。

「60%が分水嶺」。どこまで最低賃金を引き上げても大丈夫なのかの理論値です。記事によりますと、「ある地域の平均的な賃金(中央値)と最低賃金の水準を比べ、60%前後までは悪影響が出ないとの説」としています。日本は40%前半代(最低賃金の平均値が874円として)としており、2023年頃に最低賃金が1,000円になったとしても比率は40%後半台しかならないし、国際的にはまだ低いという。

 

(簡略的ではありますが)記事では触れられていない、ある地域の平均賃金の値を割り出してみると2,185円となります。1,000円を2,185円で除しますと約46%となり、60%水準にはまだまだ至らないという理論です。

恐らく、最低賃金がこのまま引き上げられると、現在のサービスや商品を価格へ転嫁することが難しい場合、事業の撤退、縮小、廃業などの選択を強いられる可能性が高くなることは目に見えています。

 

ではどうすればよいのか?

「内部コストは上昇し、価格転嫁はできない状況はビジネスモデルの限界を意味している」と仮定し、次の打ち手を戦略的に考え続けられる人が次世代を切り開いていくのでしょう。ビジネスの場合、正解は一つではないのですから思考を柔軟に(特に業界の常識に囚われてはいけない)して素直に世界を見るとヒントは必ず見つかると思います。

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